魔女の瞳Ⅳ
「魔女狩り将軍」として東イングランド中に盛名を馳せ、総額1000ポンドにのぼる法外な手数料収入を荒稼ぎしていたホプキンスであったが、その凋落は意外に早かった。

全能きどりの異端審問官に最初の痛烈な一撃を浴びせた勇敢な人物の名はジョン・ゴール、グレート・ストートンの牧師であった。

1646年、自分の担当教区にホプキンスが遠征してくることを知ったゴールは、説教のなかで公然とホプキンスを批判するとともに、ホプキンスの尋問の残虐さや違法性をあばく証拠を集めだした。

これを知ったホプキンスは脅し文句に満ちた手紙をゴールに送りつけ、それ以上の詮索をやめさせようとした。

しかしゴールは屈することなく、間もなく収集した証拠をまとめた告発書を出版し、その説得力あふれる論証によってホプキンスの真の姿を人々の前にさらけ出した。

 ホプキンス非難の声は急速に高まり、議会から魔女退治の特別任務を命じられているというホプキンスの主張にも疑いの目が向けられるようになり、1646年の末までにはホプキンスへの魔女狩りの依頼は絶えてなくなった。

翌年、干上がったホプキンスは、ともに各地を駆け回ってきたチームの解散に追いこまれ、魔女狩りビジネスは3年で幕を閉じた。

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