魔女の瞳Ⅳ
もう立ち上がる力など残っていなかった。

…彼女も同様だった。

人形師とはいえ、魔女の端くれ。

人間相手に後れを取るような事は有り得ない。

にもかかわらず、ホプキンス如きの拷問に甘んじていた。

「つまらんな。貴様の妹はもっと抵抗して見せたぞ?桜花…だったかな?」

「……!」

蘭花の瞳に憎悪が灯る。

「こ…殺してやる…殺してやるわ、ホプキンス!」

「無駄だよ」

下卑た表情のまま、ホプキンスは先程から真っ赤に焼き続けられていた焼き鏝(やきごて)を手に取る。

「ここは『私の空間』だ。何人たりとも、私に手を下す事はできぬ。私こそが、この空間の審問官だからな」

その手にした焼き鏝を、踏みつけた蘭花の背中に近づける。

「判決、人形師・天羽蘭花は魔女。よってここに魔女の烙印を焼き付ける」

真っ赤に焼けた焼き鏝が蘭花の背中に…!



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