魔女の瞳Ⅳ
紙切れに文をしたためた主は、相当な達筆だった。

こう書かれている。

『蘭花手傷を負わされる。すぐに連絡とられたし。時貞』

周防五郎之介時貞。

百禍の復活の際に一度は私達の敵に回った武士の霊。

今は蘭花の作り上げた人形を肉体とし、彼女と共に住んでいた筈。

つまり、時貞は四六時中蘭花のそばについている筈だ。

なのに蘭花が手傷を負わされた!?

「あいつ…何してたのよ!」

時貞の不甲斐なさに悪態をつきながら、私はすぐに出掛ける準備を始める。

「長老、ちょっと蘭花のとこに行って来るわ。留守番よろしく」

もたもたと玄関から出て行くのも時間が惜しかった。

窓を開けて。

「          」

飛翔の魔術で空へと躍り出る。

そこからは全速力だった。

…一体…何が起こってるっていうの…!?


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