魔女の瞳Ⅳ
第五章

現実

翌日。

私の洋館の応接間に時貞とジルコーが揃う。

「……」

一応招いた手前もある。

紅茶を振る舞ってみたりはしたのだけれど、二人とも口をつけない。

さっきから一時間ばかり、両者睨み合ったままだ。

「ち…ちょっと貴方達」

たまらず私は口を出す。

「趣旨わかってる?私達の今回の敵はマシュー・ホプキンス。桜花や蘭花、菊花を傷つけた忌むべき異端者審問官よ。私達三人にとっては共通の敵。ここで貴方達がいがみ合ってる場合じゃないのよ?」

そりゃあこの二人の腹に一物あるのはわかる。

百禍の件で、この二人は実際にやり合った者同士だ。

因縁が少なからずあるのは理解できる。

今でなければ、遺恨試合の立会人を務めてあげたっていい。

しかし今はまずい。

仲間同士で傷つけあっている場合ではないのだ。

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