魔女の瞳Ⅳ
そろそろホプキンスの種明かしをしよう。

私は書庫に閉じこもり、文献を隅々まで調べた。

魔女である天羽の三姉妹をあそこまで傷つける事が出来るのだ。

既にホプキンスが人外の存在と化している事は明白だった。

魔女よりも上位に位置する人外。

しかも私の手ほどきを受けた桜花達をも上回る存在と言えば限られてくる。

『悪魔』。

人間、天界とさえ敵対し、人の世に禍をもたらす邪悪そのもの。

晩年、魔女狩りを引退した年に肺結核によって死亡したとされるホプキンス。

だがその類稀な残虐性は、その道のプロである悪魔でさえも一目置くほどのものであった。

死の間際、己を失墜させた人間達を憎悪しながら命の灯を消し去ろうとしていたホプキンスの許に、夢か現か、一人の悪魔が現れる。

魔界でもそれなりの立場にいる、爵位級の上級悪魔。

彼はホプキンスに提案する。

その魂を魔界へと沈めよ。

我と契約せよ。

さすれば永遠の命を引き換えにくれてやる。

悪魔の手先である魔女を狩る者と名乗っていた魔女狩り将軍自身が、その魂魄を悪魔に売り渡したのである。

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