魔女の瞳Ⅳ
案の定、修内太の傷は私の治癒魔術を受け付けない。

とりあえず今は、安静にしておくしかない。

彼の体に、着ていたコートをかけて。

「マシュー…ホプキンス…!」

怒りに燃える呪眼で、目の前の非道な男を睨む。

「…もう少し待っていてくれれば、その少年…いや、その『魔女』も判決を下せたのだがな」

悪びれもせず。

ホプキンスは黒い外套を翻して笑った。

「下衆が」

「その不遜…万死に値する」

ジルコーが人狼態に変身し、時貞は攻城刀を構えた。

臨戦態勢だ。

私も、素早く周囲1キロにわたる広範囲に人払い、防音、対衝撃の結界を張る。

ちょっと派手にやってしまいそうだ。

自分の力を抑える自信がない…!


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