魔女の瞳Ⅳ
「最低でも五十は欲しいとこね」

校舎玄関でローファーに履き替えながら私が言う。

「それってどのくらいかかるんだよ?」

スニーカーの紐を結び直す修内太に。

「んー…高校卒業までには」

「気の長い話だな」

私の言葉に、修内太は苦笑した。

と。

「あら?」

私は、校門の辺りに人だかりが出来ているのを見つけた。

「何かしら?」

呪眼を持つ私は、少量の魔力を注ぎ込む事で視力を高める事ができる。

『強化』の魔術の応用だ。

その眼で校門の方に目を凝らしてみると。

「あ」

見覚えのある長身の男が、校門の所に立っているのが見えた。

あの姿…人間態だけど。

「ジルコーだわ」

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