しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
手に持っていた携帯のディスプレイを、トントンと指で叩きながら、加村さんは言った。

あたしの心臓は、さっきと違う意味で激しく脈打ち始めた。

新橋(にいばし)先生って言うんだけど。あ、下の名前は、この人と同じ亜犁安(ありあ)ね。それで。」

冷や汗が出てくる。

心臓の周りに黒い煙が渦巻いている感覚に襲われた。

「……写メとか欲しかったんだけど、駄目って言われて。だから、仕方無く似てる人を待ち受けにしてるんだ。」

好きな人のことを語るのが嬉しいのか、加村さんは早口でどんどん話してくれる。

あたしは、その声を聞きたくない為に、逃げ出したかった。

それなのに、何故か「先生」という単語が気になって。

「せん せい……?」

と、聞き返してしまった。

声がかすれていた。


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