しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
私の問いに加村さんが答える。

「うん。あー。えっと、俺が通ってるところの臨床心理士。カウンセラーって言ったら、分かりやすいかな。俺は……。」

優しい瞳で話す加村さん。

「……っ!!」

あたしは、加村さんがまだ何か話そうとしていたのを無視して、彼に思いっきり背を向けた。

「……観月ちゃん?」

加村さんが、心配そうに私の背中に声を掛けてくれた。

その優しさが、今は辛い。


加村さんに、好きな人がいたなんて。


じわ……と、目に涙が浮かんできた。

やばい、このタイミングで泣いたら、変に思われる。

「あ!あのっ。」

あたしは、加村さんの方には体を向けないようにしたまま、大きな声を出した。

「あたし、メイク直してきますねっ。」

そう言うと、早足でスタッフルームを出た。


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