しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
バタン!

走って辿り着いたのは、スタッフルームからすぐ近くのメイクルーム。

ドアを閉めた途端、ボロボロと涙が溢れてくる。

「っうーー……。」

あたしは、声を抑えて泣き出してしまった。

「ちょっと!?観月さん、どうしたの?」

先にこの部屋に入っていた同世代の女の子・青木さんが、私に近づいてきて、そう言ってくれた。

「っふ……。」

あたしは、涙を流しながら、声をスタッフルームに届かないように我慢するだけで精一杯だった。


知りたくなんかなかったよ……。


加村さんに、好きな人がいること。


そして、あたしの中の恋心が、こんなにも激しい感情になっていたこと。


頬を伝い続ける雫をメイクルームの床に落とし続けながら、あたしは辛い気持ちで胸が張り裂けそうだった。

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