しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
「いや、あのさ。」

未だクスクスと笑いながら、加村さんは言った。

「俺、観月ちゃんの番号、教えてもらって無かったでしょ?」

「あ……。」

あたしは、やっと事の真相が見えた。

つまりは、こういうことだ。

あたしは、 紙に書かれた加村さんの番号を受け取った。

だから、勿論彼の番号は知っていた。

だけど、紙を渡されたとき、あたしの番号を教えずに別れたので、加村さんの携帯電話の連絡先には、「観月梨穂菜」の文字が入っていないということである。

「すみません、あの時あたしも教えれば良かったですね。」

あたしは、ホッとしながらも、また少し申し訳ない気持ちで言った。

「良いよ。面白いから。」

ふはっと、語尾に軽く笑い声を含み、加村さんは言った。

……加村さん、ツボ浅いんだ。

なんだか、ちょっと意外な一面。


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