しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
「いや、戸町のセール忙しいからさ。身体大丈夫かなって思って。」

や、優しいー!

加村さんの方が、あたしが心配するほど働いているっていうのに、その思い遣り!

前から、彼のそんな魅力に気付いてはいたけれど、そんな風に気遣ってくれるなんて。

好き、だなぁ……。

それに。

(なんだか、女の子扱いされてる気がして、くすぐったい……。)

「だ、大丈夫ですっ!元気だけが取り柄なんでっ!」

あたしは、電話の向こうの見えない相手に向かって、左手でガッツポーズを作った。

バイトがキツくないと言ったら、嘘になる。

だけど、加村さんがこうやって心配してくれるなら、何倍も頑張れる。

「あはっ!そっか。そうだったね。」

加村さんは、そうやって笑って、

「観月ちゃんがバイト始めたばかりの時を、思い出すよ。」

と、言った。

「え?具体的にいつのことですか?」

あたしは、思い当たる節が見つからなかった。

(加村さん?)

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