しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~

7.これが、俺。

「ふふっ、その子、面白いわねぇ。」

とある病院の小部屋で、白衣を着た女性と患者の男は、話をしていた。

女性の左胸に留められているネームプレートには、

“臨床心理士 新橋亜犁安”

と、書かれている。

「えぇ、いつも彼女には、笑わせられますよ。」

クライアントの加村悠輝は、優しい目付きで相手の女性のことを見て、答えた。

「よく笑うし、声が大きい、それに自分の名前を思いっ切り叫んだりする。」

指を一本ずつ折りながら、悠輝は言った。

「でも、もうすぐすると悠輝くんは、勉強が忙しくなるから、バイトで会えなくなっちゃうわね。……寂しい?」

心配そうに顔を覗き込まれて、悠輝はムッとしたような表情をした。

それを取り繕うように、彼も寂しそうな顔をする。

いや、これは自然に出た表情でもあった。

「僕には……、好きな人がいますから。」

目を伏せがちにして、彼は言う。

「あ!そうだったわね!どんな人?」

「いつも、悠輝くん、教えてくれないんだもの~。」と、新橋は質問した。

「秘密です。」

切なそうに笑って、悠輝は人差し指を自分の口に当てる。

「そっかぁ。上手くいったら、良いね。」

新橋は、それ以上追求せずに、話を完結させた。

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