しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
「……次は、寛政(かんせい)。次は、寛政。お降りの方は、バスが止まってから、ご移動ください。」

謎の男から指定された場所まで、残り2つの停留所となった。

「寛政」の次が、目的地周辺のバス停だ。

ドクン、ドクンと、頭の中で音がする。

まるで、心臓が頭蓋骨の中に移植されたようだ。

全身さぁーっと、血の気が引いていくのが分かる。

あと、たった8分なのに、それが永遠のように感じられた。

(加村さん、加村さん!)

何があったのだろう?

この前、携帯で電話したときは、あんなに元気そうだったのに。

(……早く着いて!)

私は、バスの座席で、全身セメントで固められたように、身を縮めた。

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