しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~
そこには、高校にいるはずの梨穂菜が立っていた。
「観月さん。」
「お疲れ様です、加村さん。」
(あれ、今日は水曜……だよな。)
そう思って、自分の疑問を伝えてみる。
「お疲れ様です。今日は学校はどうされたんですか?」
梨穂菜は、制服を着ていた。
白い長袖のシャツ、赤いリボン、水色のタータンチェックのスカート。
「今日は、定期テストの最終日なんです。学校が早く終わったので、ここに寄ってみました。」
ああ、成る程、中間試験か。
すっかりその時期だということを忘れていた。
「何か、買いたい本でもあったんですか?」
「あ!いや、えーと!」
彼女は何故かこの質問にギクッとしたようだ。
……目が泳いでいる。
「適当に見て回ってから帰りますね。お仕事中、すみませんでした。」
そう言うと、コミックコーナーの方へ向かおうとした。
「あ、観月さん。」
悠輝は、その背に声を掛けた。
「はいっ!?」
彼女は、相変わらずの大きな声で、返事をした。
「試験、良い結果が出ると良いですね。」
「あー、はは。ありがとうございますっ!」
言葉の初めは苦笑いだったが、お礼を言うときには、笑顔を向けて、梨穂菜はその場を離れた。
……失礼だけど、勉強も難しい本も苦手そうだもんな。
クスッと笑って、悠輝は仕事に戻った。