「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 とにかく、いまはそういう気持ちはいっさいない。
 堂々と会話をしている自分に驚いてしまう。

 夕食後、エルマにボルディーガ侯爵家の屋敷内を案内してもらっていた。

 使用人たちの何名かは、屋敷の敷地内にある別棟や家で住みこんでいるらしい。

 独身者だけではなく、家族もいっしょに住んでいる人もいるとか。

 どれほどの敷地があるかはわからないけれど、帝都にある程度の敷地を有しているなんてすごい、と単純に驚いた。

 とりあえず、彼女の部屋や厨房など屋敷内だけをまわったけれど、それでも広いので時間がかかった。

 ボルディーガ侯爵家の歴史は古く、この屋敷もかなりの年代を経ているとか。

 いい意味での古さを感じる。華美な装飾品もないので落ち着ける。

 見た目とか見栄とかよりも機能重視ということがわかる。

 屋敷内を見て終わった後は、居間でお茶をということになった。
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