「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 自室のテラスで本を読んでいると、侍女のフィオレがやって来た。

 執事長のジェラルドが会いたいという。

 もちろん、すぐに部屋に入ってもらった。

「ナオ様、おくつろぎのところ申し訳ありません」

 ジェラルドは、室内に入ると一礼した。

 フィオレや彼や侍女長のアーダだけでなく、皇宮にいる人たちにはナオと呼んでほしいとお願いしている。

 公爵令嬢なんて、もうわたしには関係がないから。

 捨てられ捧げられた、ただの「役立たず聖女」ですもの。
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