「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「じつは、宰相閣下より伝言がございまして。三日後、ナオ様の歓迎の舞踏会をこの皇宮の大広間で開催されるとのことです」
「わたしの歓迎の舞踏会?なぜですか?」

 なぜ?わたしなんかの為に、宰相が開催するわけ?」

「はあ……。主催者はジルド左将軍です。宰相閣下は、あくまでも進行役なのです」
「三日後って、たしかガンドルフィ公爵令嬢の誕生パーティーじゃ……」

 宰相やジルド左将軍は、歓迎会にかこつけて誕生パーティーをしようとでも?

 だとしたら、なんておおがかりな嫌がらせなの。

 ジルド左竜将軍って、やりすぎか何かで皇都に更迭されたみたいなものよね。ということは、フランコやカストよりもはやく帰還するのね。

 デボラとその父親である宰相と組んで、自分の威を知らしめようというのかしら。

 デボラはわたしにたいして嫌がらせを、ジルドと宰相はフランコに嫌がらせを、それぞれ思惑を達成しようとでも?
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