「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 憤ったのはエルマである。それを、侯爵がたしなめた。

 エルミーニ侯爵家もまた名門らしい。皇都からほど近くに領地を有していて、ご令嬢もその領地からわざわざ出てくるとか。

「お兄様にナオのパートナーになってもらうつもりだったのに。だから、わたしは自分のパートナーにドスケベのダレッシオ伯爵子息を誘ったのよ」
「あいつはダメだ」
「どうしてあいつなんだ?ダメだ。ダメダメ」

 侯爵とバルナバが気色ばんだ。

「どうして?ドスケベなだけの中身のない男よ」
「だからダメなのだ」
「だからダメなんだよ」

 エルマは、侯爵とバルナバに全力で拒否されても気にしていないみたい。

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