「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「最初から素直に受け取ればよかったんだ。なあ、ビアンカ?」
「そうですわね。あの仮面の下は、見るに堪えない顔なんでしょう?だったら、ナオ程度で釣り合うわ。二人で慰め合ったらいいのよ」

 アデルモとお姉様は、声量をはばかることなくそう言ってから大声で笑っていた。

 二人の兵士に謁見の間から連れだされながら、なぜか「これでいいのかも」と思った。

「もう二度とこんなところはごめんだわ」、とも。 

 さらには「勝手に滅びなさい」、とも。

 謁見の間から連れだされた瞬間、守護の力をとめた。

 身勝手だけれども、もう二度とアデルモの為に聖女の力を使うことはない。

 そう心に誓った。
< 12 / 175 >

この作品をシェア

pagetop