「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「わたしのせいね。乳母として、二人の王子たちを最優先にしたわ。王子として恥ずかしくないよう、自分なりにがんばったつもり。言い訳になるけど、その分わが子に対してはなにもしなかったの。愛情もしつけもね。ロメオが子守りを雇わず、出来るだけ屋敷の使用人たちと面倒をみると言ってくれたの。だから、お言葉に甘えたのよ。結局、彼よりかは使用人たちに負担をかけてしまい、迷惑をかけてしまったけれどね。うちの使用人は、勤続三十年以上の人も多いのよ」

 そういえば、執事もメイドも料理人もわりとベテランの人が多いわね。比率的には、若い人と半々くらいかしら。

「ロメオもがんばってくれたけど、彼も外交官として様々な国を飛び回っていたから。なかなか屋敷にいて、子どもたちの面倒をみるなんてことが出来なないわよね。あら、ごめんなさいね」

 侯爵夫人は、苦笑した。

「何が言いたいかっていうと、うちの子たちは自由奔放すぎるっていうことね。その一つが、いま目の前にぶら下がっている乗馬服の数々というわけ」

 侯爵夫人は、乗馬服の数々を示した。
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