「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「ねえ、ナオ。ドレスっぽいものって、こんなに派手なんだけど」

 そのタイミングで、エルマが一着のドレスを持ってやって来た。

 胸元にド派手な色合いと奇抜なデザインのドレスを抱えている。

「ちょっとわたしには派手かも。それと、胸元が……。わたし、エルマみたいに出ていないといけない所が出ていないから」
「ナオ、わたしだってそうよ。出ちゃいけないところが出ているんですもの。それはともかく、お母様。このドレスは、お母様のお下がりだったかしら?」
「そんなわけないわ。それはたしか、従姉のだれかのお下がね」
「きっとそうぬ。奥の方に突っ込んでいたから」

 あっけらかんと言うエルマ。
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