「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 彼女は、もともと美しい。土台がいいから、ドレスだろうと乗馬服だろうときれいなのは言うまでもない。

 活発なレディは、いまはドレスを着用して「ザ・レディ」という感じ。

 やっぱり土台よね。

 あらためて思い知らされた。

 フィオナと侍女長のアーダが手伝ってくれる。というよりも、二人がそれなりに支度してくれた。

 侯爵夫人とエルマは、長椅子に座ってその様子を眺めている。

 化粧は薄っすらと。だれにでも不気味がられる短い黒髪は、ナチュラルなままにしてもらった。その黒色の短髪を、上流階級で流行っているというアーティシャルフラワーの髪飾りで飾ってもらった。

 いよいよドレスを着用する。

< 129 / 175 >

この作品をシェア

pagetop