「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

右竜将軍は可愛い系

 荷物は、トランクが三つだけである。すでに荷馬車に積んでいる。

 荷馬車をひっぱるのは、わたしの親友のルーポ。黒馬で、本来は乗馬用の馬である。だけど、どうしても連れて行きたいので荷馬車を準備してもらってルーポにひいてもらうことにした。

 すぐに出発である。

 そもそも、竜帝たちは、馬を厩舎に預けてさえいなかった。

 正殿の前に居並んでいる。

 正殿前の長い階段を降りつつ、左右の兵士に視線を送った。

 それから、わずかにうしろを見てみた。

 だれも追いかけてこない。

 当然、見送りもない。

 家族ですら……。

 あらためて、捨てられたんだなと実感する。

 それから、左右の兵士にお願いをした。
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