「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

舞踏会

 舞踏会は、表向きはわたしが主役。だから、ボルディーガ侯爵がエスコートしてくれた。

 男性にエスコートしてもらうなんて、当然はじめてのこと。

 侯爵夫人には申し訳ないし、こんなわたしをエスコートする羽目に陥った侯爵にも申し訳ないと思う。だけど、うれしくて照れ臭い気もする。

 大広間に入った瞬間、その豪華さと規模の大きさに唖然としてしまった。

 皇宮専属の楽団が厳かに演奏している。それから、壁際には何十種類もの料理やスイーツが並んでいる。

 見知った侍女たちやこの夜の為に雇われたメイドたちが、酒を配ったり要望をきいたりあちこちで駆けまわっている。

 そして、出席している人の数がまたすごい。

 二百人?三百人?

 とにかく、大広間内にいっぱいいる。
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