「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 フランコのエスコートで踊りながら、夢のようなひとときをすごした。

 エルマとカストも踊っている。だけど、エルマは踊りつつカストにこれまでのことを話し続けている。

 その一方的な話をきいているカストの可愛い顔はやさしく、彼がエルマを愛しているのだということがひしひしと伝わってくる。

 やはり、ただの幼馴染の関係などではなかったのね。

 わたしの最初の直感は、けっして的外れではなかったのよ。

 必死にフランコについていきながら、そんなことをポーッとかんがえている。

 先程、フランコが言ったことは、たとえ体裁上であったとしてもすごくうれしかった。

 だからこそ、あくまでも体裁上であることが悲しくもある。


 この夜舞踏会で彼と踊ったことは、一生の思い出になった。
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