「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「陛下っ、さっさと言っちゃってください」
「エルマの言う通りですよ、兄上」
下から声がきこえてくる。
手すりから見下ろすと、エルマとカストが馬上でこちらを見上げているじゃない。
「わかっている。いまから告げるところだ」
フランコはそう怒鳴ると、軽く息を吸いこんだ。
「ナオ、昨夜はあのような場ですまなかった。あらためて告げたい。おれと結婚してほしい。ではなかった。婚約、そう、婚約だ。婚約してほしい。当然、きみはいまの時点でおれを知らない。おれといっしょにすごして、おれという男を知ってから決めてもらっていい。チャンスをくれないだろうか」
「このわたしを?こんなわたしにおっしゃっているんですか?」
「きみのことだ、ナオ・バトーニ公爵令嬢。この前は言わなかったが、じつはアロイージ王国の宮殿で出会ったとき、きみに一目惚れしたんだ。きみ以外はかんがえられない。あのとき、きみではなく姉の方を連れて帰ってくれと言われたとしたら、きみを指名した。それほどきみを連れ帰りたいと思った」
「そんな……。どうしてですか?こんなわたしですよ?」
「理由など必要ない。人を愛するのに理由などないんだ」
「エルマの言う通りですよ、兄上」
下から声がきこえてくる。
手すりから見下ろすと、エルマとカストが馬上でこちらを見上げているじゃない。
「わかっている。いまから告げるところだ」
フランコはそう怒鳴ると、軽く息を吸いこんだ。
「ナオ、昨夜はあのような場ですまなかった。あらためて告げたい。おれと結婚してほしい。ではなかった。婚約、そう、婚約だ。婚約してほしい。当然、きみはいまの時点でおれを知らない。おれといっしょにすごして、おれという男を知ってから決めてもらっていい。チャンスをくれないだろうか」
「このわたしを?こんなわたしにおっしゃっているんですか?」
「きみのことだ、ナオ・バトーニ公爵令嬢。この前は言わなかったが、じつはアロイージ王国の宮殿で出会ったとき、きみに一目惚れしたんだ。きみ以外はかんがえられない。あのとき、きみではなく姉の方を連れて帰ってくれと言われたとしたら、きみを指名した。それほどきみを連れ帰りたいと思った」
「そんな……。どうしてですか?こんなわたしですよ?」
「理由など必要ない。人を愛するのに理由などないんだ」