「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 しあわせで静かでやさしいときをすごしていながら、不安と恐怖で震えもしている。

 そんなある日、どうしても会いたいと皇宮にやって来た一団があった。

 皇帝であるフランコにではない。わたしに、会いたいと言っているらしい。

 なんとなく、それがだれだかわかった。だれだか、というよりかはだれの使いでやって来たか、をである。

 だけど、その予感は半分当たっていて半分外れた。

 アロイージ王国の国王アデルモ・ブラマーニの使いということは当たっていた。

 その使者が、お姉様のビアンカということが意外すぎた。

 当然、彼女だけではない。外交官が数名付き従っている。

 一応姉だから、会ってみた。

 案の定、聖女の加護がなくなっているアロイージ王国の惨状を救うべく、ただちに帰国せよという内容だった。
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