「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 彼女のうしろにいるアロイージ王国の外交官たちは、気の毒なほど慌てふためいている。

 彼らは、お姉様を黙らそうとしているけれどうまくいくはずもない。

「ナオッ。あなた、捧げものでしょう?それならそれで、ちゃんとそれなりの仕事をしなさいよ」

 金切り声が耳に痛いわ。というよりか、捧げものの仕事っていったい何?

 心の中でツッコまずにはいられない。

「ナオは捧げものなどではない。おれが彼女を連れて帰ったのは、彼女を妻にする為だ。心配するな。アロイージ王国はもうすぐ滅びる。いや、失敬。国が滅びるのではない。貴様ら王族が滅びる。各地で起こっている災害に対しては、すでにわが帝国が援助をしている。その分では、王都も危なさそうだな。王都にも援助を開始しよう。国民は、わが帝国に感謝している。そして、何もしない貴様ら王族を恨みに思っている。貴様らの国民が、貴様らを滅ぼすだろう。それに、個人的にも許すつもりはない。愛するナオを、肉体的にも精神的にも痛めつけてくれた。あー、国王は誰だったかな?」
「フランコ様、アデルモ・ブラマーニです」

 控えめに伝える。
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