「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 だから、いますぐ街にほっぽりだされたら、それこそ路頭に迷ってしまう。確実に、餓死確定だわ。

 だからこそ生活に慣れるまでは、いえいえ、可能であれば職がみつかるまでは、どこかに置いてもらいたいのだけれど……。

 身勝手すぎるわよね

 だけど、わたしの頭はそのことでいっぱいである。

 それにしても、立派な宮殿よね。

 廊下をあるきながら、キョロキョロと見まわしてしまう。

 大理石で出来ているその廊下は、ずっと伸びていて先が見えない。

 等間隔に灯りが設置されているけれど、大きな廊下は薄闇に包まれている。
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