「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 ニヤニヤ笑いのカストに、必死の表情の竜帝。いえ、フランコの言い合いを見ていると笑いが込み上げてきた。

 口に手を当てたけど、笑いを止めることは出来ない。

 クスクスと笑いはじめると、今度はそれを止めることが出来ない。

「ほらみろ、カスト。彼女に笑われているぞ」
「それは兄上が、です」

 笑いは伝染してしまう。二人も笑いはじめた。

 三人でしばらくの間笑い続けた。
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