「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「そうだろう、そうだろう」

 フランコは、得意げにうなずいている。

「あ、いえ、フランコ様。やはりわたしは、ご遠慮させて……」
「さあっ、陛下。陛下もそろそろ夕食時ですよ。ほら、馬たちも腹を空かせてイライラしています」
「ブルルルルルルル」
「ブルルルルルルル」

 もう一度お誘いを拒否しようと試みてみたけど、またしてもガリレオとルーナとルーポに邪魔をされてしまった。
 しかも、ルーナとルーポは苛立たしげに前脚で土をかいている。

 ど、どうして?断りたいのに断れない。

「楽しみだな。ガリレオ」
「陛下、お任せください。二頭とも、ちゃんと調整をしておきます」
「ナオ。では、行こうか。図書室は、夕食後に案内するよ」
「は、はい」

 仕方がない。いま断われなくっても、これから断るチャンスがあるかもしれない。

 ガリレオとルーナとルーポに挨拶してから、慌ててフランコを追いかけた。
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