「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 わたしたちが謁見の間の両端で見守る中、竜帝は玉座の前の階段下までやって来た。

 一応、近衛隊は控えている。でも、彼らはわたしたちよりも遠くにいる。

 竜帝は長剣を佩いている。三段しかない段差なんてあってないようなもの。

 長身で足がうらやましいほど長い竜帝が一歩大きく踏み出し長剣を突けば、アデルモの心臓を貫くくらい造作ないでしょう。

 そうなれば、玉座の横にこれみよがしに添うているお姉様は耳をつんざくような悲鳴を上げるでしょうね。

 どうでもいいかもしれないけれど、お姉様は目をそむけたくなるほどの大胆な胸のカットで目がチカチカしてしまうほどド派手なピンク色のドレスを着用している。

 今後、彼女はこの国を一人で守らねばならない。大聖女であり、正妃になのだから。
 それにふさわしく、もうちょっと、いえ、かなり控えめなデザインに色合いのドレスにすべきだと思うわ。
< 7 / 175 >

この作品をシェア

pagetop