「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 いまはテーブル席についているから上半身までだけど、立っていたらそれこそ頭のてっぺんから爪先までチェックされたでしょう。

 靴も爪先がとがって高いヒールのではなく、履き古したぺったんこの靴を履いている。

 二足持っているけれど、どちらもおなじような状態だから仕方がない。

 わたしのチェックが終ると、いよいよ口撃(・・)がはじまった。

「アロイージ王国では、そういうデザインが流行っているの?」
「黒髪の人は多いの?黒色ってあまり気持ちのいい色じゃないわよね」
「ドレスは、お祖母様の形見?」
「髪が短いのは聖女だから?」

 どうでもいいようなことばかり尋ねてくる。

 いっそ「ダサくて醜い女ね」って言えばいいのに。

「その顔は、遺伝なの?それとも、王国民全体的にそのような感じなのかしら?」

 きわめけは公爵令嬢である。

 そんなわけないわよね?

 心の中で笑ってしまった。
< 70 / 175 >

この作品をシェア

pagetop