「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「もちろんですとも、ボルディーガ侯爵令嬢。すべてお召し上がりください。本日は、パティシエが侯爵令嬢がいらっしゃるときき、お好きな物ばかりをご用意しております」
「うれしいわ。ベニートに愛してるって伝えておいてね。ダリラ、またみんなで飲みに行きましょう。日程調整、お願いね」
「畏まりました。いつもありがとございます。みな、大喜びします。あ、お土産を準備してまいりますね」
「ナオの分もよろしくね」
「もちろんですとも」

 侍女が去ると、彼女はまた勧めてくれた。

 ケーキやクッキーを堪能しながら、彼女は教えてくれた。

 定期的に自分の屋敷の使用人やガンドルフィ公爵家の使用人、それから他の貴族の使用人たちと街で飲んでいるのだという。

 彼女自身はそれほどお酒に強くないけれど、そういう雰囲気が好きなのだとか。

 なにより、貴族と付き合うより楽しくて心が休まるらしい。
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