「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 とってもよくわかるわ。

 共感せずにはいられない。

 あらためて、彼女に助けてもらった礼を言った。

「やめてよ、ナオ。あなたに助けなんて必要なかった。いつでも助けようとスタンバっていたんだけど、結局、あなたは自力でだれかさんの傲慢な鼻っ柱をへし折ったじゃない。あまりにもしつこいから、しゃしゃりでただけよ。それに、はやく二人っきりになりたかったし」

 彼女は、もう何十枚目かのクッキーを頬張ってから続ける。

「ナオ、この後時間あいている?初対面で厚かましんだけど、乗馬に付き合ってくれないかしら?じつは、わたしの馬、皇宮の厩舎にいるの。あなたが、わざわざアロイージ王国から愛馬を連れてきているってきいていたのよ。それで、いてもたってもいられなくなったわけ。じつは今日ここに来たのは、あなたに会いたかったからなの。どうせお茶会はすぐに終わるはずだから、っていうか、わたしが終わらせるつもりだったから、二人でここでお茶した後に乗馬が出来ればなって」

 恐れ入ったわ。わたしに味方しようっていうだけでもかわっているのに、わたしを誘うなんて。
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