「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

友人に……

「もちろん。この恰好だから乗馬は出来ないけれど、厩舎に行くのはお付き合いしたいわ」
「よかった。来た甲斐があったわ。それで、さらに厚かましいんだけど、なってくれる?」
「はい?」

 なってくれる、ってなにに?

「小説にでてきそうだし、まさか自分がこんな気恥ずかしいことを言うことになるなんて思わなかったけど、一応了承を得たいのよ。迷惑だったらはっきり言ってくれていいから。ほら、友達ってやつ?」

 彼女の斬新なお願いごとを理解するのに、しばらくかかってしまった。

「友達?わたしと?」
「ええ。あなたよ。ダメ?そうよね。わたしってばこんなでしょう?お兄様やカストに、気が強いってよく言われるのよね」
「そ、そんなことはないわ。って、カスト?」
「あ、彼は幼馴染なの。陛下もね」

 なんてこと……。
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