「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 あらためてお泊まり会の約束をエルマとバルナバとし、この日は宮殿に戻った。

 お茶会でのことを、フィオレに夕食時に報告した。すると、彼女は大笑いしてくれた。

 笑い話じゃないんだけどって苦笑してしまった。

 フランコがいるときには、彼と食事をとっていた。だけど、彼がいなくなってから一人で食事をすることが寂しく感じるようになった。

 アロイージ王国では、さんざん一人で食事をしていたのに。

 かえって一人で食事をする方がよかったのに。

 食事も、家族が終って残り物や自分で作った料理を厨房の片隅で食べることが多かった。

 使用人からも「役立たず」聖女と認識されていたので、わたしの分まで準備してくれなかったのである。

 ここに来て、はじめて食事が楽しくなった。フランコは、話し上手だし聞き上手でもある。彼の話は、面白くて楽しくなる内容ばかりである。
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