「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 エルマの言っていたことがわかった。

 彼女も、こうして情報を得ている。

 もちろん、わたしの場合はそれが目的ではない。単純に独りぼっちで食事をしたくないだけ。

 だけどみんなと一緒に食事をすることで、フランコやカスト、それから宰相や大臣や官僚、公爵など上位貴族、ついでにまだ見ぬ皇族たちのことを知ることが出来た。

 その情報が役に立つかどうかはわからない。でも、知っていて損はないはず。


 お茶会の夜の食事も、お茶会のことで盛り上がった。

 フィオレ同様、みんな大笑いした。

 デボラの顔を見たかったと、口を揃えて言った。

 デボラがフランコの婚約者であったときも、婚約破棄をされて彼の兄皇子であるジルドと付き合っているいまも、彼女は妻として皇族に名を連ねているかのように振る舞っているらしい。

 傲慢で理不尽で思いやりのかけらもない彼女に、だれもが憤っている。

 だから、わたしが彼女の誕生パーティーに出席するつもりだというと、食事をしている全員から反対された。
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