揺れる瞳に恋をして
お泊まり
「ちー」
私の家の前で
待っていた夏希
「夏希、どうしたの?」
「明日から一緒に学校行こう」
「…え?」
「もう俺、彼女いないから、大丈夫」
そういって夏希は私の家に入る
「話があるんだ」
スタスタと慣れたように私の部屋に入る
「…飲み物持ってくる」
「俺も行く」
一緒にキッチンに向かう
コトコトコト…
コップに飲み物が入る音が鳴る
私達は
無言
静まり返った空気を
変えたのは
「ちー」
夏希だった
「なんか、ちー」
「え、」
夏希が驚いた顔をする
「…」
「え…ちー、なんで…泣いてるの」
「グスッ…だって…」
「ちー…」
夏希が
私を抱きしめる
ギュッと、優しく
包み込む
「ごめん…」
謝る夏希の声は
私の心をじんわりと
暖めてくれるようで
「…話、聞いたの…若松さんに」
「…え?」
「なんで、付き合ってたのかって…」
「それ、聞いて、私…」
夏希が
距離を置いたことが
許せなくて
でも
また
こうやって一緒に入れるのが
嬉しくて
「…ごめん、話さなくて」
「なんで…言ってくれなかったの?話してくれたら、私だって…」
「…あ」
…え?
「話せばよかったのか…」
「…夏希?」
え?夏希?
まって、まって夏希
「もしかして…」
「…ごめん」
夏希
本当に…
「…ばか」