揺れる瞳に恋をして
「夏希!教科書、下駄箱に散乱してたよ」
「え?なんで?」
「逆になんで気付かないのよ」
も〜!といいながら
夏希の机に教科書を入れる
「ちー、今日抜き打ち荷物チェックあるって言ってたから…」
「うん?」
「委員会帰り先生に、枕は不要物ですかね?って聞いたんだけど」
「え?」
「俺の人生には必要不可欠だな〜って言われた」
「…まっきーに聞いちゃだめだよ」
まっきーとは
私達の担任の先生
牧原隼太
夏希と張り合えるくらい天然だって
うちのクラスでは有名
授業を始める〜って教室に入ってきて
1年生の授業を始める
よく教室を間違えている
教師としてどうなんだ
とは思うけど
気さくで話しかけやすく
人気の高い先生
「兄さん…またそんな訳の分からないこと言ってたの…」
麻耶の兄の1人でもある
「まあ、まっきーだしね」
「俺の授業にも必要不可欠なのになあ」
と、机にへばりつく夏希
そんな安眠妨害されたのを根に持っているのか
「今の夏希に必要不可欠なのは、課題とシャーペンよ」
「え?」
「今日、英語の課題提出日」
「課題、やったじゃん、ちーと一緒に」
「その課題はどこにあるの?」
「え?ここに…」
ゴソゴソと自分のリュックを漁っても
課題は出てこない
「あれー?」
「夏希」
「ん?」
「昨日、課題終わらせてる時、何した?」
昨日の出来事を思い出させる
「課題して、喉乾いて、お茶を飲んで〜」
「うん」
「課題に零した」
「そうだね」