世界で一番いい女
◇ ◇ ◇
「あいつ……だれだ?」
高校2年の文化祭。
羽生を見つけたと思ったら、隣には見たことねー男が歩いていた。
そいつ誰?って聞きに行きたくても、今は行けない事情がある。
……昨日、俺の失言で羽生と喧嘩になってしまったから。
結婚科がメインで行われるイベント“人気投票”。
名前のとおりのイベントで、カップルに人気投票がされて順位をつけられてしまうもの。
順位とか関係なく学校生活を楽しむために普通科へ転科したのに、羽生はなぜかこれに参加したいって言いだして。
まぁ、羽生が参加したいならいいかって一応うなずいたけども。
『……これ出る必要あった?』
人気投票のパレードのときに、つい抱いた疑問を口に出してしまった。
すると、羽生は暗い表情をして、
『じゃあ無理につきあってくれなくていいよ。パレードも私とも』
俺を拒絶するように視線をそらした。