世界で一番いい女



「え……これ?」


 羽生が考えることなんてわかるわけねーな。


 そう開き直って羽生の字を探していたら見つけたもの。


 そこに書かれていたのは『対話』。


 重力に逆らいながらふわふわと揺れるふうせんは、対話しろ~って可愛く怒ってるみたいだ。


 それにしても、お互いにまったくの逆の答えを書いてんの……マジか。


「羽生」

「岩清水くん……」


 合流した俺たちは、昨日ぶりに言葉を交わす。


 せっかくだから、この機会に思ってることとか話しとくべきだよな……。


「そばにいるだけでおちつくって思ってた」

「えー! 言わなくちゃわかんないよ!」

「わりぃ……」


 びっくりした顔の中に、ほっとした色を浮かべる羽生。


 元カノといるところを見せてしまって、どれだけ不安にさせてしまったか。


「あいつのこと、なんとも思ってねーから」

「え?」

「たまたま会って引き留められただけで、一緒に文化祭回ったりはしてねーってこと」


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