無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「あれ? 知鶴さんじゃん」
「おはよう。アイスコーヒーをください」
カフェの店員である杉崎 聖くんが驚いた顔をして私に声をかけてきた。
空いている席に腰をおろすのと同時にドリンクをオーダーすれば、聖くんはうなずきながら「かしこまりました」とお決まりのセリフを口にする。
私がこのカフェの常連客になったことで、今では聖くんとはたわいもない会話を交わす仲になった。
といってもそれは来店したときだけで、互いの連絡先は知っているけれど、メッセージのやり取りはしたことがないしお店の外で会うこともない。
なので……厳密に言うと“友達”という関係でもないのだ。
でも、少しとはいえ職場以外の人と話をして家に帰るのも、たまにはいいなと思っている。
「朝に来るなんて珍しいね」
「聖くんこそ、朝のシフトに入ることもあるんだね」
「体調不良で休んだ子がいて、俺が急遽呼ばれたんだよ」
私の目の前にスリムなグラスに入ったアイスコーヒーを置き、聖くんがいつもの人懐っこい笑みをたたえる。
基本的にはお昼前から夜の七時くらいのシフトなのだと以前に聞いたことがあるので、朝に働く彼はけっこうレアだ。
運ばれてきたコーヒーをストローで口に含むと、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
私は苦味の少ないすっきりとしたハワイのコナ・コーヒーが大好きだ。
昨夜はまったく眠れていないから寝不足だけれど、これを飲めば頭が冴えてきそう。
「今日の知鶴さん……なんか違う。まつ毛が長い!」
隣のテーブルを拭いていた聖くんが私をチラチラと見ていて、目元の変化に気付いたようだ。
実はまだマツエクは付けたままになっている。
同じ美容院でオフをしてもらおうかと考えたが、施術した数日後に取り外せというのも失礼な気がして行けなかった。
今度、別のサロンでオフだけを予約しよう。
「おはよう。アイスコーヒーをください」
カフェの店員である杉崎 聖くんが驚いた顔をして私に声をかけてきた。
空いている席に腰をおろすのと同時にドリンクをオーダーすれば、聖くんはうなずきながら「かしこまりました」とお決まりのセリフを口にする。
私がこのカフェの常連客になったことで、今では聖くんとはたわいもない会話を交わす仲になった。
といってもそれは来店したときだけで、互いの連絡先は知っているけれど、メッセージのやり取りはしたことがないしお店の外で会うこともない。
なので……厳密に言うと“友達”という関係でもないのだ。
でも、少しとはいえ職場以外の人と話をして家に帰るのも、たまにはいいなと思っている。
「朝に来るなんて珍しいね」
「聖くんこそ、朝のシフトに入ることもあるんだね」
「体調不良で休んだ子がいて、俺が急遽呼ばれたんだよ」
私の目の前にスリムなグラスに入ったアイスコーヒーを置き、聖くんがいつもの人懐っこい笑みをたたえる。
基本的にはお昼前から夜の七時くらいのシフトなのだと以前に聞いたことがあるので、朝に働く彼はけっこうレアだ。
運ばれてきたコーヒーをストローで口に含むと、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
私は苦味の少ないすっきりとしたハワイのコナ・コーヒーが大好きだ。
昨夜はまったく眠れていないから寝不足だけれど、これを飲めば頭が冴えてきそう。
「今日の知鶴さん……なんか違う。まつ毛が長い!」
隣のテーブルを拭いていた聖くんが私をチラチラと見ていて、目元の変化に気付いたようだ。
実はまだマツエクは付けたままになっている。
同じ美容院でオフをしてもらおうかと考えたが、施術した数日後に取り外せというのも失礼な気がして行けなかった。
今度、別のサロンでオフだけを予約しよう。