無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
それからというもの、オフィスでの私はより一層気配を消した。
元々地味だから、ただ大人しくしているだけで目立たずにいられる。
仕事はミスなく的確に。……まるでロボットのようだと自分でも思う。
あの夜から一ヶ月が過ぎたが、志賀さんとはあいさつや仕事の指示を受けるときに話すだけで、必要最低限の関わりに留めている。
避けている、と受け取られても仕方がないかもしれない。
志賀さんをあきらめるには、できる限り接触を絶つしかないのだ。
そうしなければいつまで経っても片思いにケリをつけられないから。
心を無にしていれば、いつかきっと良い思い出に変わっていく。今が一番辛い時期だ。
「知鶴ちゃん、今日一緒に外でランチしない?」
「すみません、ちょっと先約がありまして……」
「あら、珍しいわね」
ランチに誘ってくれた佐夜子さんに対し、ていねいに頭を下げて謝った。
実は昨日、地元の級友で幼馴染でもある元倉 太一から連絡が来たのだ。
仲のいい従姉妹が出産して、そのお祝いのために上京したので、ついでに私の顔も見て帰ろうと考えたらしい。
私はお昼休みの時間が限られているから、職場近くのレストランで待ち合わせをした。
十二時ピッタリに午前の仕事を終わらせて席を立つ。
レストランに赴くと、太一が先に来てテーブル席に陣取っていて、入店した私を見つけるなりすぐに手を上げて合図を寄こした。
「太一、待たせてごめんね」
「いや、俺も今来たから大丈夫」
彼が黒の短髪と濃い顔立ちなのは昔からずっと同じだ。
いつ会ってもカジュアルな服装で、雰囲気は長年変わらない。なぜかそのことにホッとする自分がいる。
元々地味だから、ただ大人しくしているだけで目立たずにいられる。
仕事はミスなく的確に。……まるでロボットのようだと自分でも思う。
あの夜から一ヶ月が過ぎたが、志賀さんとはあいさつや仕事の指示を受けるときに話すだけで、必要最低限の関わりに留めている。
避けている、と受け取られても仕方がないかもしれない。
志賀さんをあきらめるには、できる限り接触を絶つしかないのだ。
そうしなければいつまで経っても片思いにケリをつけられないから。
心を無にしていれば、いつかきっと良い思い出に変わっていく。今が一番辛い時期だ。
「知鶴ちゃん、今日一緒に外でランチしない?」
「すみません、ちょっと先約がありまして……」
「あら、珍しいわね」
ランチに誘ってくれた佐夜子さんに対し、ていねいに頭を下げて謝った。
実は昨日、地元の級友で幼馴染でもある元倉 太一から連絡が来たのだ。
仲のいい従姉妹が出産して、そのお祝いのために上京したので、ついでに私の顔も見て帰ろうと考えたらしい。
私はお昼休みの時間が限られているから、職場近くのレストランで待ち合わせをした。
十二時ピッタリに午前の仕事を終わらせて席を立つ。
レストランに赴くと、太一が先に来てテーブル席に陣取っていて、入店した私を見つけるなりすぐに手を上げて合図を寄こした。
「太一、待たせてごめんね」
「いや、俺も今来たから大丈夫」
彼が黒の短髪と濃い顔立ちなのは昔からずっと同じだ。
いつ会ってもカジュアルな服装で、雰囲気は長年変わらない。なぜかそのことにホッとする自分がいる。