無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
聖くんはやさしい人だ。好きになる相手が、志賀さんではなく聖くんだったらよかったのかな。
いや、それはそれでライバルがめちゃくちゃ多そうだから、幸せな結末は望めないだろう。
そんなありもしない妄想をしながらアパートまでの道のりをふたりで歩いた。
「本当はね、もっと深刻な悩みがあるんだ」
聖くんが真剣に私を心配して送って行くとまで言ってくれたのだから、あやふやに誤魔化すのではなくて、私も真摯な対応をするべきだと思った。
この際だから彼に志賀さんとのことを打ち明けてみよう。
「なんとなくそう思ってたよ。顔が暗かったもん」
「聖くんはモテるから、私が今からする話は共感しづらいかもしれないんだけどね……」
「ちょ、ちょっと待った! それ、俺的には聞かないほうがいいやつだ。嫌な予感がする」
道ばたで急に立ち止まり、聖くんが両手の手の平を私に向けてストップのジェスチャーをする。
だけど私は彼がどうして急にあわてるのか全然理解できなかった。
「聖くん、どうしたの?」
「え、……だから……」
「私ね、好きな人がいるんだ。同じ職場の公認会計士さん」
重い話だと捉えられないようにサラリと口にしてみたのだが、聖くんは瞬時に顔をしかめて、ぐったりとうなだれた。
いや、それはそれでライバルがめちゃくちゃ多そうだから、幸せな結末は望めないだろう。
そんなありもしない妄想をしながらアパートまでの道のりをふたりで歩いた。
「本当はね、もっと深刻な悩みがあるんだ」
聖くんが真剣に私を心配して送って行くとまで言ってくれたのだから、あやふやに誤魔化すのではなくて、私も真摯な対応をするべきだと思った。
この際だから彼に志賀さんとのことを打ち明けてみよう。
「なんとなくそう思ってたよ。顔が暗かったもん」
「聖くんはモテるから、私が今からする話は共感しづらいかもしれないんだけどね……」
「ちょ、ちょっと待った! それ、俺的には聞かないほうがいいやつだ。嫌な予感がする」
道ばたで急に立ち止まり、聖くんが両手の手の平を私に向けてストップのジェスチャーをする。
だけど私は彼がどうして急にあわてるのか全然理解できなかった。
「聖くん、どうしたの?」
「え、……だから……」
「私ね、好きな人がいるんだ。同じ職場の公認会計士さん」
重い話だと捉えられないようにサラリと口にしてみたのだが、聖くんは瞬時に顔をしかめて、ぐったりとうなだれた。