無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「どうしたの」
思わす声をかけずにはいられないほど、椅子にへたり込んだ彼女はコンビニで買ってきたお茶をゴクゴクと身体に流し入れている。それほど喉が渇いているのだ。
「お婆さんと交差点のところにいたよな? 知り合い?」
「いえ、初対面です」
「……は?」
俺はわけがわからずに首を傾げた。
たしかに親しそうではなかったけれど、まさかあれが初対面だったとは。
「道を尋ねてこられたんですけど、詳しく聞いてみたら函館とか五稜郭の公園っていう言葉が出てきたので、北海道の話をされてる感じだったんです」
「北海道?」
「おかしいですよね。私もそう思ってたら、女性が持ってた杖に認知症の迷子札が貼ってあったんですよ。家は遠くないんでしょうけど、ひとりで外出したのなら危ないじゃないですか」
なるほど。認知症の女性だったのか。
遠目から見ただけでは全然わからなかった。
だけど神野さんは迷子札に気が付いて、すぐに認知症だと理解したようだ。
「迷子札にQRコードがあって、スマホで読み取ったら電話番号が出たんです。それで家族の人に電話して……」
「神野さんがしたの?」
「はい。でも私も仕事があるからずっと付き添ってあげられないので、近くの交番で事情を説明して保護してもらったんです」
思わす声をかけずにはいられないほど、椅子にへたり込んだ彼女はコンビニで買ってきたお茶をゴクゴクと身体に流し入れている。それほど喉が渇いているのだ。
「お婆さんと交差点のところにいたよな? 知り合い?」
「いえ、初対面です」
「……は?」
俺はわけがわからずに首を傾げた。
たしかに親しそうではなかったけれど、まさかあれが初対面だったとは。
「道を尋ねてこられたんですけど、詳しく聞いてみたら函館とか五稜郭の公園っていう言葉が出てきたので、北海道の話をされてる感じだったんです」
「北海道?」
「おかしいですよね。私もそう思ってたら、女性が持ってた杖に認知症の迷子札が貼ってあったんですよ。家は遠くないんでしょうけど、ひとりで外出したのなら危ないじゃないですか」
なるほど。認知症の女性だったのか。
遠目から見ただけでは全然わからなかった。
だけど神野さんは迷子札に気が付いて、すぐに認知症だと理解したようだ。
「迷子札にQRコードがあって、スマホで読み取ったら電話番号が出たんです。それで家族の人に電話して……」
「神野さんがしたの?」
「はい。でも私も仕事があるからずっと付き添ってあげられないので、近くの交番で事情を説明して保護してもらったんです」