愛とは決して○○しないこと
広い道路に広い歩道。
少し歩いてカフェへ。
奥の席でスマホから雄太の行きたいブランドの本店を検索してみた。
「みどり、ここからちょっと違う通りみたい。」
「うん。気に入ったのがあるといいね。」
「ああ。親父の会社に入る時は心機一転で、
スーツと革靴も新調するつもりなんだ。」
「そうなんだね。雄太の事を社長の息子って知ってるの人は少ないんでしょう?」
「ああ、副社長の徹おじさんと、親父の秘書の畑山さん、専務と常務にも伝えたみたいで披露宴にも来てたんだ。あ、あと人事部長かな。
でも俺の個人データなんかは人事部には入れないって言ってたなぁ」
「もし、雄太の事がバレたらどうなるの?」
「別にどうにもならないと思うけど、偽名で働いて社内の観察したいからさ〜内緒なんだ〜。」
「そうね。どの会社にもいろんな人がいるからね」
「ああ。俺は会社を潰さないようにしなきゃだよ。
必死に頑張るからさ。よろしくなみどり。」
「はい。私も家庭を守る努力をするからね。」
「ありがとう。じゃあ行こう」
「うん。」
ブランド店でも雄太も慣れているようで、
英語でベルトを2本選んだ。
次は名刺入れを選ぶ、それは私が払う事にした。
「何だかゴメンね。選んでもらってお金だけ払ったりして。でも気に入ったのがあって良かった。」
「うん。しかも本店だし〜」
「ふふふ。」
「みどりは?欲しいモノない?」
「え?私〜。ないよ」
「あ、お揃いのキーケースを記念に買おうよ」
「ああ。では雄太さん。お願いします。」
「ハハ。みどりさん。かしこまりました。」とふざけてから店員さんにキーケースも見せてもらい、
雄太は黒にして私は濃いローズ系の赤にした。
「雄太…今回は大金使わせてばかりでゴメンね。
そして本当にありがとう。」
「みどり、楽しい?」
「もちろん!毎日楽しいよ。こんなにたくさん観光見学もしてるし〜」
「なら、それに使った金は生きたカネになったから俺も嬉しい。金はまた一生懸命働いて貯めれば良いしさ!」
「ありがとう。」
ブランド店でタクシーを呼んでもらいホテルへ帰ってきた。