闇が渦巻く世界の果てで

「ゆかに何をして………」

「何って…ただの軽い調教だよ?」

楽しそうにそう告げるレンさんに、殺意が湧く。ゆかが苦しそうにお腹を押さえているのを見れば、聞かなくてもわかった。暴力だ。

「ユカ、言うことは何もないの?」

冷たい瞳でレンさんはゆかにそう問いかける。ゆかに謝罪を求めている。きっと、記憶を操っている時も、なにかあったら暴力を振るって無理やり言うことを聞かせてたのだろう。そうじゃなければ、ゆかは隠そうとしないはずだ。

「言う…こと…?謝罪をするのは………あなたの方じゃないのですか?」

ゆかは苦しそうにお腹を抑えながらもそう呟く。

「随分と…生意気になった物だね。誰のせいかな?そこの尋くんのせいかな?それとも周りのゴミ達のせい?」

レンさんが、のんびりゆかに近づく。ゆかを守ろうと、動こうと思っても動けなかった。物理的に。体が1ミリも動かない。レンさんに、動きを止められている。

「あ〜あ。可哀想に」

そう言うとレンさんは躊躇いなくゆかのことを踏みつけた。

「っ……………‼︎」

ゆかが苦しそうな声を出す。レンさんはおかまいなしにグリグリと、とても楽しそうにゆかを足で踏みつける。

「ねぇユカ、僕はそんなに難しいことをお願いしてないだろう?謝罪の代わりに、尋くん達を殺せなんて言ってないじゃないか。本当はそうしたいくらいなのに、わざわざ簡単にしてあげてるだろう?」

レンさんはさらに続けて口を開く。

「ほら、僕の気が変わる前にやらないと、尋くん達が可哀想だよ?」

軽く僕の方を見ながらレンさんはそう言った。ゆかは苦しそうな顔で声を出す。

「すみ…ません。こんなことしてすみません。私が…私が悪かったです…許してくださいレン様」

ゆかの言葉が終わった瞬間に、レンさんはゆかから足をどける。そして優しそうな笑顔を浮かべてゆか前にしゃがむ。

「今のは、それで許してあげる」

レンさんはゆかの頭を優しく撫でてからまた笑った。

「ただ、こないだのことは、まだ反省してないみたいだね?」

"こないだのこと"それだけでなんとなく察することができる。きっと、僕たちの味方をしたことだろう。ゆかが僕たちと一緒にここに入れられてるのもそれが原因だ。

「生意気な子は嫌いだよ?」

レンさんはそう言うと、ゆかを無理矢理立たせてから扉の中に投げる。

(ゆかへの扱いが雑すぎないか…?)

これが平常なのだとしたらかなりやばい。そんなことを考えてる間に、レンさんも扉の中に入っていった。
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