闇が渦巻く世界の果てで
(二)
「おい───起きろ───起きろ尋───」
「起きろ馬鹿弟子」
快斗さんに起こされて、ガバッと起き上がる。
「なんで───快斗さんが──────」
「───?何か変な夢でも見たのか?明日から行けって言った側から熱だしやがって───」
熱に──────夢──────?
もしかしたら今までのは、夢だったのだろうか。それにしてはリアルすぎる。
「快斗さん。僕は、妙にリアルな夢を見ました」
僕がそう言った途端に、快斗さんは急に真面目な顔になる。
「詳しく聞かせろ」
そう言った快斗さんに、僕が体験した高校に行ってからの話をした。
「あぁ──────お前に1番目覚めて欲しくない能力を使いやがって」
全てを話し終わったら、快斗さんはため息を吐く。
「たまにいるんだよな。突然能力が目覚めた人の中で、時の巻き戻しを使えるやつが」
「時の───巻き戻し───?」
「無意識のうちに起こる能力だ。なんらかのの失敗を犯した時に、勝手に魔力が反応し、時間を巻き戻す。これは1人一回しか使えない。無理やり使おうとすると、精神が崩壊する」
どうやら、とんでもない能力を使ってしまったらしい。巻き戻せるなら、ゆかをゲームに巻き込む前になりたかったものだ。
「巻き戻しを起こした時、近くにいた尋の本名を知っている魔力持ちは記憶が残る。ストライアの王族はもちろん、公爵の2人もそうだろうな。こうなると、きっとストライアはお前を欲する。無理やり引き込んでくるはずだ。気をつけろ。魔力を察知されないようしばらくは外出を控えるべきだな」
快斗さんはため息をついた後、苦笑した。
「まぁ、お前が無事で何よりだ」